日本製薬商事オフィシャルサイト

生薬

桂皮(ケイヒ)

画像の説明

クスノキ科の桂、またはその同属植物の樹皮です。

別名

肉桂(にっけい)、官(かん)桂(けい)、桂(けい)心(しん)、油(ゆ)桂(けい)、玉(ぎょく)桂(けい)

薬味 薬性 帰経

薬味:辛・甘 薬性:熱 帰経:腎・脾・心

性 状

クスノキ科のケイまたは、その他同属植物の、樹皮または周皮一部を除いたもの。『神農本草経』の上品に「菌(きん)桂(けい)」「牡(ぼ)桂(けい)」の名で収載されている。 ケイヒの種類(採取部位・産地)によって厚さや外観が異なる。一般的な特徴としては、槽状あるいは巻筒状、長さ30~40㎝、広さあるいは、直径3~10㎝、厚さ0.2~0.8㎝、外表は灰褐色でやや粗造、内表面は紅褐色で平坦、特異な香りがある。

成 分

精油1.0~3.5%桂アルデヒド、ジテルペノイド(シンカシオール)、タンニンなどを含有。

薬理作用

  • 副腎皮質機能興奮促進作用
    副腎皮質束状層の機能評価値である尿中17-OHCSの排出を促進する。
  • 胃腸管の運動調節作用
    胃の張力を低下・増強、胃腸管の痙攣に対しては緩解作用を、蠕動が低下しているときは促進作用を示す。また緩和な刺激作用があり、唾液および胃液や胆汁などの分泌を促進し、消化機能を増強する。
  • 白血球増加作用:特に放射線照射による白血球減少症に対し、白血球および血小板増加作用が実験で確かめられている。
  • 抗炎症作用・補体活性の抑制作用  
  • 発汗・解熱・鎮痛作用   
  • 抗菌作用
  • 中枢および末梢血管の拡張作用・血液循環の増強作用   
  • 鎮静・抗痙攣作用

古典での薬理薬能

下焦虚冷の重要薬。よく腎脾の陽を温補し、附子より温脾作用に優れる

温補腎陽
腎陽(命門の火) を温め補う作用に優れ、腎陽虚治療の重要薬。

  1. 腎陽虚の下肢や四肢冷感・腰部下肢の脱力感や疼痛・頻尿・夜間尿・陽萎・
    遺精、淡白苔・脈細遅などに多用される。また、浮腫・小便不利・下痢などに使用される。
    (処)八味丸・牛車腎気丸・右帰丸
  2. 腎陽が衰え、浮き上がった陽気(虚陽上浮)を腎に引き下ろす(引火帰原*)。
    虚陽上浮による上熱下寒状態、すなわち眩暈・顔色紅潮・咽頭腫脹疼痛・不眠・動悸・舌淡紫色(上熱)、下肢冷感(下寒)などに使用。  (処)交泰丸
  3. 腎不納気証による呼吸困難・咳嗽・白淡などに使用。  (処)蘇子降気湯

温経散寒・止痛
よく寒邪を散じ血脈を通じて止痛する。虚寒性、寒凝気滞、寒性瘀血などの疼痛に使用されるが、特に脾胃の温補止痛作用に優れる。下焦虚寒性腹痛の常用薬。

  1. 脾胃虚寒証や脾腎両虚証の胃部腹部の冷痛・食欲不振・嘔吐・下痢などに使用される。
    (処)五積散・安中散
  2. 寒疝腹痛*や寒性の季肋部痛に使用される。   (配)呉茱萸(ごしゅゆ)・茴(うい)香(きょう)
  3. 月経痛や産後腹痛・閉経などに使用される。 (処)理陰煎・殿胞煎
  4. 寒湿痺証の疼痛・腰痛などに使用       (処)桑寄生・杜仲

温経通脈
気血を温め、血をよく通じさせる(温通)、また本作用により他薬の作用をよく発揮させる(宣導百薬*)

  1. 温通作用により気血の生長を鼓舞する。この目的のため少量を補気補血薬に配合する。                   (処)十全大補湯・人参養栄湯
  2. 膀胱気化を促進する目的で、利尿薬に配合。
  3. 托裏補虚(*)作用を促進する目的で癰瘍(ようよう)(*)薬に配合。虚寒性や気血両虚の陰疽*・陳旧性や難治性化膿症などに使用される。
    1. 陰疽には、熟地黄・鹿角膠・麻黄・白芥子など    (処)陽和湯
    2. 気血両虚証には黄耆・当帰など         (処)托裏黄耆湯

適応病証

腎陽虚型気管支喘息、膠原病(関節リウマチ)、白血球減少症、胃痛

豆 知 識

産地により「広(かん)南(なん)桂皮」「東興桂皮」「ベトナム桂皮」などの名称がある。また品質によっても分けられる。 

「官桂」樹齢5~6年の幼樹の皮
「企辺桂」10年余りの樹幹皮
「板桂」「桂心」官桂を整形したもの
「桂砕」官桂の塊片
「ケイヒ油」桂(けい)の葉と小枝もしくは樹皮、またはセイロンケイC.verum J.S.PRESL(=C.zeylanicum NEES)の樹皮を水蒸気蒸留して得た精油。

『傷寒論』『金匱要略方』などの医籍には、全て「桂枝」の名で処方されているが、これは桂の枝の皮を指したものと推測され、二重、三重に巻くのは枝皮であり、それで「筒桂」の名があるのではないかとされる。現在市販の桂枝は桂の枝そのもので、処方にこれを輪切りで用いるが、材部を去って皮部のみ用いるのがよい。

おもな薬能

鎮痛、鎮静、健胃、発汗

桂皮を含有する製品

牛黄清心元
野中鳥犀圓
金袋胃腸薬分包細粒
ロンターゼ胃腸薬K顆粒