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腸管免疫とは
腸管免疫のメカニズム
腸内細菌

第67号 腸管免疫とは

「内側の外側」と免疫

いよいよ本格的な冬の到来。
年末から年始にかけてついつい食べ過ぎ、飲み過ぎになりがちです。
どうぞ胃や腸へのご配慮を忘れずに。さて、飲食物の行方をたどっていくと、
これらが通過していく消化器官は体の内側にありながらも、外側にも通じていることに気づきます。
つまり、外気に触れている皮膚と同様の状況にもあると
考えることができ、病原菌や毒素にも曝されていることになります。
生体では、この脅威に対してちゃんと防御システムを備えていて、それは
消化管に存在しています。インフルエンザ、風邪などの感染症にかかりやすい
この時期、体を守ってくれる仕組みとして消化器官を見直してみましょう。

最大の免疫装置:腸管免疫

<意外な数値づくめの消化管>

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消化管は口から肛門までの1本の管からなり、長さは5~7mにも達し、表面積は
400平方メートルと見積もられています。これはテニスコートの約1.5倍、
皮膚の250倍に相当します。また、腸管の表面は腸管粘膜によって保護されており、その腸管粘膜にはリンパ組織が存在します。このリンパ組織は全末梢リンパ球の60~70%を占め、体内最大のリンパ器官として機能しており、
この免疫系は「腸管免疫」と呼ばれています。

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さらに、腸には腸内細菌が常在し、ヒトでは100~200種類、10~100兆個の
腸内細菌がいると考えられています。

<腸管免疫のユニークな特徴>
腸管免疫の特徴は、無害なものと有害なものとを識別するという高度に
システム化された機能です。
腸管は、食べ物と同時に病原菌や毒素などの異物にも曝されています。この健康を脅かしうる異物に対して、腸管粘膜は生体防御の最前線として、外界と生体内との間を区切るバリアの役割を果たします。
例えば、腸内には生体に必要な細菌と毒素を産生する有害な細菌が入り混じって存在しているので、生体の環境を守るために腸と細菌とで互いにダイナミックな戦い(生体側では細菌の殺傷・排出,細菌側では増殖・死滅)が繰り広げられています。
また一方で、食べ物の成分が異物とみなされて免疫機能によって排除されて
しまうと、栄養素を吸収することができません。そこで腸の免疫系では、免疫反応が起きにくくなる「免疫寛容」という仕組みが働き、食物成分などは無害であると認識され、栄養素の取り込みが可能となります。

「免疫」の復習
免疫とは生体防御機構で、基本的に「自分(体の細胞など)」と
「自分でないもの(病原菌など)」を区別する仕組みと言えます。
免疫反応は2種類あり、自然免疫と獲得免疫に分けられます。
自然免疫は生体における常設の防衛部隊、獲得免疫は緊急時に動員される
防衛部隊に例えることができます。
体内には免疫系のネットワークが張り巡らされており、胸腺骨髄、脾臓や全身に分布するリンパ節などリンパ器官を拠点にしてリンパ管でつながれています。

<3分で分かる!?腸管免疫のメカニズム!>

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腸管粘膜は「パイエル板」や腸管と粘膜に固有のリンパ球などから
構成されています。パイエル板はドーム状の組織で、小腸の繊毛のところどころにあり、腸管免疫の司令塔の役割を果たします。

①侵入してきた病原細菌や毒素などの異物(抗原)は、パイエル板や繊毛上にある見張り役の「M細胞」に取り込まれたあと、
②樹状細胞によって分解され、
③その情報がT細胞に伝えられます。
④さらにT細胞はB細胞に指令を下し、
⑤新たな異物の侵入を防ぐ抗体(IgA:アイジーエイ)をつくらせます。
この一連の反応によって、体が守られています。

<腸内細菌も重要>

腸管免疫と関係している大事な要素として、「腸内細菌」の存在が挙げられます。
腸内細菌は免疫寛容によって排除されずに“共生”している善玉菌、悪玉菌、
日和見菌などに分けられます。

善玉菌

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腸内を酸性に保ち、悪玉菌の増殖を防ぐ。ビフィズス菌、アシドフィルス菌。

悪玉菌
腸内環境を悪化させる。ウエルシュ菌、大腸菌(毒性株)。

日和見菌
善玉菌、悪玉菌の優勢な方へ味方する。大腸菌(無毒株)。

腸内免疫と生活

<腸管免疫力を高めるには?>

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免疫機能は老化とともに低下していきます。
免疫力を高めるには食生活が重要です。
ヨーグルトや漬物、納豆などの発酵食品を食べることで腸内の善玉菌が増えると同時に自然免疫が活性化します。

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さらに、植物由来乳酸菌やキノコ類なども免疫活性化に役立つことが
わかっています。特にキノコ類に含まれる多糖類(β-グルカンなど)は
腸内細菌によって部分的に分解され、パイエル板を刺激したり、M細胞を
通して樹状細胞に取り込まれます。その情報がT細胞に伝えられて、全身の
免疫系が活性化するという仕組みになっています。

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β-グルカンが多く含まれるキノコ類として、シイタケ、マイタケ、メシマコブ、レイシ、アガリクスなどが挙げられます。

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