日本製薬商事オフィシャルサイト

生薬

当帰(トウキ)

おもな薬能
冷え性、腹痛、貧血、生理痛、更年期障害


画像の説明

セリ科トウキまたはホッカイトウキの根を湯通しして乾燥させたものです。

薬味 薬性 帰経

薬味:甘・辛・苦 薬性:温 帰経:肝・心・脾

性 状

セリ科トウキの根をそのまま、あるいは湯通しして乾燥したもので、『神農本草経』の中品に収載されている。根頭部を帰頭、主根部を当帰身(帰身)、支根を当帰尾(帰尾・当帰鬚)、帰身と帰尾を合わせて全当帰という。

成 分

精油を0.2%含有し、その構成成分はリグスチリド、n‐ブチリデンフタリドなど。また、クマリン誘導体としてベルガプテン、スコポレチン、ウンベリフェロンなど、ポリアセチレン化合物としてファルカリノール、ファルカリンジオール、ファルカリノロン、などを含む。

薬理作用

  • 子宮筋に対して興奮と抑制の二相性作用を持つ。
  • 心血管系に対する作用
    1. 抗不整脈作用
    2. 心拍数の抑制作用
    3. 冠状動脈拡張作用 
    4. 末梢血管拡張作用
    5. 降血圧作用
  • 抗酸化作用およびフリーラジカルの抑制作用
    脳におけるO2欠乏を軽減させ、損傷による乏血後の再潅流の治療作用。
  • 血液系に対する作用
    1. 抗血小板凝集作用、抗血栓作用
    2. 降高脂血症作用 
    3. 造血促進作用、特にヘモグロビンや赤血球の生成促進作用
  • 抗放射線障害作用
  • 抗悪性腫瘍作用 
  • 免疫系に対する作用
    1. 単球、マクロファージの貪食能を増進させ、細網内皮系細胞の機能を高める。したがって、非特異的免疫機能を促進する。
    2. 細胞性免疫の促進作用
    3. 体液性免疫では個体を有利に増強する。
    4. 同種移植の拒絶反応に拮抗する。
  • 抗炎症および鎮痛作用
  • 広いスペクトラムをもつ抗菌作用
  • 消化器系に対する作用
    1. 肝の庇護作用、抗肝グリコーゲンの低下作用
    2. 胃液分泌抑制作用、H+、K+-ATPaseの抑制作用
  • そのほか鎮静作用、また利尿作用があり、腎臓に対しある程度の保護作用を示す。

古典での薬理薬能

活血止痛に優れる補血の重要薬。婦人病の常用薬

補血
滋潤性があり、優れた補血作用を有し、特に心と肝の血をよく補う。
一切の血虚証に使用されるが、心血虚証や肝血虚証に多用される。
めまい・頭重・動悸・健忘・不眠・羸痩(*)・顔色不良などの症状に使用。

  1. 心肝血虚症 (処)四物湯 
  2. 気血両虚  (処)人参栄養湯・当帰補血湯
  3. 心脾両虚証             (処)帰脾湯 
  4. 肝腎両虚で虚火上炎の更年期障害   (処)二仙湯

活血調経・止痛
補血とともによく血を巡らせ、月経を調整(調経)し止痛する。
血虚証のほか、瘀血・気滞などに使用される。実証に適する。

  1. 調経の重要薬といわれ、血虚・瘀血・気滞などの月経不順・閉経・月経痛・崩漏・産後の腹痛などに使用。
    1. 気滞血瘀証   (処)桃紅四物湯  
    2. 血虚寒証        (処)温経湯
    3. 脾虚証を伴う血虚証   (処)当帰芍薬散  
    4. 血虚血熱気滞証     (処)加味逍遥散

  2. 活血し寒邪を散じて止痛する。気滞瘀血証・血虚証などの頭痛・胸痛・腹痛・季肋部痛などに多用される。その他、風湿痺証・筋肉痛・外傷打撲・血痢腹痛など種々の疼痛にも使用。
    1. 頭痛          (配)川芎・白芷など   
    2. 胸痛・季肋部痛     (配)川芎・鬱金
    3. 虚寒血虚の腹痛     (処)当帰建中湯 
    4. 血虚寒証の四肢冷感疼痛 (処)当帰四逆加呉茱萸湯
    5. 風湿痺痛        (処)独活寄生丸
    6. 血痢          (配)黄芩・黄連・木香など

    7. 腫脹を緩和止痛し、排膿を促進して傷口修復を促進(生肌)する。
      気虚証や血虚証の化膿遅滞・排膿後の傷口回復不良などに使用される。外科の常用薬。
    8. 皮膚化膿症の初期    (処)仙方活命飲
    9. 皮膚化膿症の後期    (配)黄耆・桂皮・皀角刺など

潤腸通便
潤性があり、血虚証や虚弱体質・老人・産後などの腸燥や虚秘の便秘に使用   (処)済川煎

他:止咳平喘作用
慢性の咳嗽や喘息などに使用 (処)蘇子降気湯・金水六君煎

適応病証

月経困難症・打撲後遺症による瘀血痛、癤癰などによる腫脹、疼痛、産後の瘀血痛、リウマチ膠原病による硬直疼痛、血虚による虚弱の病態などに用いる。

  1. 気血両虚の病態                      (処)当帰補血湯
  2. 月経不順                         (処)四物湯 
  3. 月経痛                   (配)香附子・芍薬・延胡索
  4. 月経過多                  (配)芍薬・地楡・阿膠
  5. 産後の腹痛                 (配)川芎・桃仁・黒姜・炙甘草
  6. 血虚型腹痛に対して補血と鎮痛作用 (配)白芍・甘草
    血虚型の寒冷腹痛   (処)当帰建中湯
  7. 活血鎮痛作用として用いる場合は、活血化瘀薬と併用
    外傷打撲などによる瘀血痛
    (処)活絡効(かつらくこう)霊(れい)丹(たん)

    気滞血瘀の病態を呈する、身体痛、リウマチ・膠原病による慢性疼痛疾患
     (処)身痛逐瘀(しんつうちくお)湯(とう)
  8. レイノー現象を有する血虚証
    手足の冷感・青紫色の変化・指趾の変形・拘縮・疼痛などの病態
    (処)当帰四逆湯

    レイノー現象が慢性化し寒冷という要素が持続する頭痛・悪心・嘔吐などの病態 
    (処)当帰四逆加呉茱萸生姜湯

注意 禁忌

甘味で潤腸作用があり、湿証・胃腸虚弱者・脾虚証の下痢には禁忌

豆 知 識

当帰は中国最古の辞典である『爾雅』に「薜(はく)は山蘄(さんき)なり」とあるものが原名とされており、
古くから薬物として使われています。

陳承は『妊婦、産後の悪血上衝を治して、即刻効をあげ気血昏乱にはこれを服すれば直ちに安定する。よく気血をして各々帰するところあらしめるものだ。恐らく当帰の名はこれによったのであろう。』といった。
「血中の気薬」ともいわれ、補血活血・行気止痛の効能をもち、心肝脾に入る。心は血を主り、肝は血を蔵し、脾は統血するので血病の要品であり、血虚血滞を問わず主役として用い、婦人病の良薬である。

別名

当(とう)帰(き)鬚(しゅ)、土(ど)炒(しょう)当帰

当帰を含有する製品

牛黄清心元
オキソピンZ
野中鳥犀圓
ロンターゼスリムファイバー