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生薬

甘草(カンゾウ)

おもな薬能
鎮痛、鎮咳、去痰、解熱、消炎、鎮静、健胃、強壮。


甘草

マメ科のウラルカンゾウの根及び根茎を乾燥したもので甘い味がします。

別名

国(こく)老(ろう)

薬味 薬性 帰経

薬味:甘 薬性:平・炙ると温 帰経:脾・肺・心

性 状

マメ科のカンゾウ、ウラルカンゾウの根およびストロン(根茎)を乾燥したもの。『神農本草経』の上品に収載され、古くから中国のみならずヨーロッパでも知られている。現在は野生品が主であるが、栽培にも研究が進みつつある。栽培の場合通常3~4年で採取する。甘草は、乾燥地・寒冷地・砂漠などの環境の厳しい所や、草原の排水の良い砂質土壌に適する多年草である。根は太いゴボウ状(主根)で、地表に近い部分から地中を横に伸びる根茎(ストロン)ができる。地上部は"萩"に似た姿になる。根茎を春又は秋に (春ものの方が品質がよい)採取し、枝根・ひげ根を取り去って洗浄し大小に分別し風乾する。

成 分

トリテルペノイドサポニンを約6~14%含有し、その代表成分はグリチルリチンで、その甘味は砂糖の約50倍である。その他、フラボン、アルカロイド、多糖類等を含む。

薬理作用

  • 副腎皮質ホルモン様作用:グルココルチコイド様の作用はないとされる。
    甘草とステロイド剤の併用で抗アレルギー・抗炎症作用を強化し、ステロイド剤が引き起こす副作用に対し予防的に働く。したがって、重症感染症・消化管出・ショックなどの病態において予防に役立つといわれている。
  • 抗炎症作用、抗アレルギー作用
  • 免疫調節作用、マクロファージの機能促進作用
  • 肝庇護作用
  • 抗潰瘍作用
  • 筋肉の痙攣性疼痛の緩解作用
  • 抗腫瘍作用
  • その他、利胆、鎮痛、抗痙攣、解毒などの作用がある。

古典での薬理薬能

補気力は弱いが、広範囲に使用される潤性の補気薬

補気心脾
脾胃や心気の機能を補い、脾虚や心気不足を改善する。
補気力は弱く、他の補気薬の補助として使用。

  1. 脾胃気虚証の食欲不振・下痢・倦怠感などに使用。  (処)四君子湯
  2. 心気虚の動悸・脈結代などに使用   (処)炙甘草湯
  3. 心気を補い、心神を安定させる(養心安神)。心気虚証や臓躁証による精神情動失調に使用。   (処)甘麦大棗湯

潤肺止咳
潤性があり肺を潤し止咳する。特に燥痰・熱痰に適する。

  1. 外感風寒の咳嗽    (処)三拗湯
  2. 外感風熱の咳嗽には (処)桑菊飲
  3. 肺熱の咳嗽   (処)麻杏甘石湯
  4. 肺燥の咳嗽    (処)桑杏湯
  5. 肺の寒飲停滞による咳嗽・透明多痰  (処)小青龍湯・甘草乾姜湯

緩急止痛
急迫症状を緩め(緩急)止痛する。

  1. 胃部・腹部・季肋部などの痙攣性疼痛に使用 
    1. 腹部虚寒の腹痛  (処)小建中湯
    2. 気滞の気肋部痛  (処)加味逍遥散
  2. 血虚による筋肉の痙攣や疼痛緩和  (処)芍薬甘草湯

瀉火解毒
良好な解毒作用や薬性の緩和作用を有する。

  1. 熱毒による咽頭の発赤腫脹疼痛に使用される。   (処)甘草湯・桔梗湯
  2. 皮膚化膿症及び熱証の外寒証による化膿症
    1. 熱証   (配)金銀花蒲公英
    2. 寒証  (処)陽和湯

調和
薬物の毒性や薬性を緩和する。特に附子や乾姜の熱性や傷陰の緩和に適する。また、食中毒を緩和する。

その他
近年では、消化性潰瘍に有効とされる。  (配)烏賊骨・陳皮

適応病証

  1. 気虚を呈する病態
    1. 心気血両虚では動悸・息切れ・倦怠無力感・不整脈などの病態
        :人参・桂枝・生地黄・阿膠などを配合 (処)炙甘草湯
    2. 胃腸系の機能減退による食欲不振・全身倦怠感・下痢傾向などの病態:人参・白朮・茯苓などを配合  (処)四君子湯
  2. 炎症感染症で用いる場合、
    1. 清熱解毒作用目的:荊(けい)芥(がい)・連翹(れんぎょう)・金銀花と併用    (処)荊(けい)芥(がい)連翹(れんぎょう)湯
    2. 咽喉頭炎による病症:桔梗を配合  (処)桔梗湯
  3. 薬物や植物中毒では、解毒作用として緑豆を配合
  4. 筋肉の疼痛痙攣痛(とくに下肢や腹部):芍薬を配合   (処)芍薬甘草湯
  5. グリチルリチン・グリチルレチン酸などの胃液分泌抑制作用・抗痙攣作用・抗潰瘍作用などにより消化性潰瘍に用いる。:烏賊骨・瓦楞子(がりょうし)などと配合
  6. 薬物の緩和作用を期待して用いる。:大黄・芒硝(ぼうしょう)を配合
    (処)調胃承気湯…薬物の刺激による腹痛を抑える。

注意 禁忌

  • 湿邪を増長させるため、湿証・胸腹部・気滞証・嘔吐する者には慎重に使用する。もしくは禁忌。
  • 長期の服用は、まれに偽アルドステロン症となり、低カリウム血症・水酸化ナトリウムの貯留・浮腫・高血圧四肢脱力無力感・しびれ・頭痛などを引き起こすことがあるので注意が必要です。もし、そのおそれや、症状が出現した場合は、沢瀉・茯苓などの利水薬や五苓散などの利水剤、アスパラK(カリウム補給剤)を使用する。
  • 甘草の配合量が1g/day(グリチルリチン酸として40mg未満)の大衆薬については、偽アルドステロン症に関する使用上の注意事項記載義務はない。

豆 知 識

生甘草
(しょうかんぞう)
甘・凉甘草を乾燥させたもの。
甘草とのみ記載されることが多い。
清熱解毒作用に優れる。
炙甘草
(しゃかんぞう)
甘・温甘草を密炙したもの。
補気補脾・緩急止痛作用に優れる。
一般に機能減退による気虚の病態に。

甘草を含有する製品

牛黄清心元
十神湯分包顆粒
金袋胃腸薬分包細粒