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腎の機能の低下『腎虚(じんきょ)』とは・「腎の働き」
腎虚

第47号 腎の機能の低下『腎虚(じんきょ)』とは

腎虚(じんきょ)の弁証(べんしょう)(分類)

腎虚には、『陽』の不足により冷えや無気力などの寒証が見られる『腎陽虚』、『陰』の不足によりほてりやのぼせなどの熱証が見られる『腎陰虚』、
明らかな熱証・寒証を示さない『腎精不足』などがあります。

腎精不足
成長・生殖・ホルモン調節の力の不足

脱毛
腰やひざのだるさ
歯のぐらつき
健忘
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小児:発育が遅い、歯が生えるのが遅い 知能の発達が遅い
男性:性欲減退 インポテンツ
女性:無月経 不妊症
その他:めまい、耳鳴り、歩行困難など

このような場合は、腎陽、腎陰を補う生薬を組み合わせて使います。
鹿茸(ろくじょう)、阿膠(あきょう)、海狗腎(かいくじん)などの動物性生薬や、熟地黄(じゅくじおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、枸杞子(くこし)などの植物性生薬が使われます。

腎陽虚
身体を温める力の不足
腎精不足の症状に加え・・・
手足の冷え 頻尿・尿漏れ 下痢しやすい 寒がり
その他:疲れやすい、元気がない、手足のむくみなど
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このような場合は、腎陽を補う鹿茸、附子(ぶし)などの生薬や、
漢方処方「八味地黄丸」などが使われます。

腎陰虚
身体を潤し、クールダウンする力の不足
腎精不足の症状に加え・・・
不眠 のぼせ イライラ
その他:手足のほてり、頭のふらつき、喉の渇きなど
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このような場合は、腎陰を補う熟地黄、天門冬などの生薬や、
漢方処方「六味地黄丸」などが使われます。

不妊症の女性には冷え症の人が多い

不妊症の女性には、冷え症の人が多いと言われています。
腎陽虚が深刻なケースでは、身体を温めるエネルギーである腎陽の力が低下していて、冷えの他に、低体温、下痢、むくみ、血色不良、倦怠感、性欲の低下、足腰がだるいといった症状が現れやすくなります。
このような状態では、妊娠しても「赤ちゃんのベット」となる子宮内膜が
温かい状態に保たれず、流産しやすくなったり、子育てをする体力がないと
いうことにもなりがちです。このような場合には、鹿茸、阿膠(あきょう)などの動物性生薬を配合した補腎薬の効果が大きいと言われています。
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腎虚が他の臓に影響する

腎の機能の低下が他の臓の不調としてあらわれることがあります。
『厳氏済生方(げんしさいせいほう)』の著者、厳用和(げんようわ)は「まったく食事をとれない患者に補脾薬を与えたが効果がなく、補腎薬を処方したところ回復した」と述べています。
このケースでは消化器症状という脾虚の症状の裏に腎虚があったようです。
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このような、一見したところ他の臓のトラブルのようでも実際には腎に病の本質があったというケースは意外に多いようです。特に、長引く不調や多臓に起因する症状に出会った時には腎の状態を注意深く観察してみることも必要です。

リンクする五臓

腎を含め五臓にはそれぞれの機能だけでなく、他の臓と協力して担う機能が
あります。また、いずれかの臓の不調が他の臓に波及することもあります。
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腎と肺
腎は肺の呼吸をサポートし、肺と協調して水分代謝を行っています。
腎陰虚が原因となって肺陰虚を起こすことが多く、腎陰虚の症状に加え、
乾咳(からぜき)、嗄声(させい)(しわがれ声)、口の渇きなどの肺陰虚の症状を伴います。

腎と心
腎は髄や脳を作り、心はその脳の血液の循環を維持しています。
また、心が生み出す血圧は、腎が尿を作る原動力となっています。
腎の陰は心の陽を冷まし、心の陽は腎の陰を温めますが、腎陰虚になると
心の陽が強くなり、ほてり、イライラなどが起こります。

腎と肝
肝の血と腎の精は、どちらかが不足するともう一方がこれを補充し、
互いに支え合っています(肝腎同源)。そのため、肝と腎の不調は同時に
現れやすく、腎陰虚には、皮膚につやがない、目が疲れる、筋肉がけいれんするなどの肝の血虚症状がしばしば伴います。

腎と脾
脾は食べ物の消化吸収を担い、腎陽が脾を温めてそのはたらきを高めています。
そのため、腎陽虚は脾陽虚を誘発し、食欲不振、下痢をおこします。

五臓が互いに影響し合う病態では、症状は多岐にわたり、重症化しやすくなります。
日頃からバランスの良い食生活を基本に、生薬をうまく取りいれて五臓を健康に保ちましょう。

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