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生薬

阿膠(アキョウ )

おもな薬能
止血、月経不順、安胎、滋養強壮


阿膠2

ロバや牛などの皮を煮詰めて固めたもので、いわゆるニカワのこと。

コラーゲンを含み、血液を補う為貧血やめまいに効果がある。

止血作用のほか、のぼせによる不眠にも。

注意:お湯に溶いて用いるが、粘りけがあり、消化が悪いので胃腸の弱い方は控える。

別名

驢皮(ろひ)膠(きょう)、伝致(でんち)膠(きょう)

薬味 薬性 帰経

薬味:甘 薬性:平 帰経:肺・肝・腎

性 状

ウマ科のロバおよびラバの除毛した皮を水で煮て製した膠(にかわ)を正品とする。

そのほか鹿角や鹿茸から作った「鹿角(ろっかく)膠(きょう)」
「鹿(ろく)茸(じょう)膠(きょう)」があり上品で、『神農本草経』の上品に収載されている。

正長方形の塊で、通常、長さ約8㎝、幅4㎝、厚さ0.7~1.5㎝。表面は黒褐色又は黒色を呈しなめらかで光沢がある。光に照らしてみるとほぼ透明で、質は硬いがもろく、砕けやすい。

においは微弱で、味はかすかに甘い。色が黒く、光っていて透明で生臭くなく、夏が過ぎても柔らかくならないものが良質である。

主産地は山東、浙江。山東産はもっとも有名で、浙江は生産量が最大である。

成 分

コラーゲン・たん白質グルチン・コンドリンなどを含む。加水分解した後は、トリプトファン・リジン・アルギニン・ヒスチジンなど多くのアミノ酸を生成。硫黄・カルシウムなども含む。

薬理作用

  • 造血作用とくに赤血球・血色素・白血球の産生促進作用
    アミノ酸等の栄養作用により全身の機能(造血機能も含む)を改善するためと考えられている。

  • 止血作用
    カルシウム平衡を改善し、血清カルシウムをやや増加することで止血すると考えられ、軽度の出血に有効。ゼラチンの作用によるものと考えられる。

  • 抗ショック作用
    血圧上昇作用による。

  • カルシウム吸収を促進しCaの体内平衡を保つ作用
    カルシウム塩は毛細血管の透過性を下げ滲出を減少させ消炎・腫脹の縮小および抗アレルギー作用を示す。

  • 進行性筋肉栄養障害症に対し、クレアチンやクレアチニンの正常化に作用など
    予防的な働きをする。これは食物中のビタミンEの酸化を防止することから
    推測され、主にグリシンの働きによると推測されている。

古典での薬理薬能

止血潤肺作用を有する優れた補血薬、熟地黄に比べより膩(じ)性(せい)である

補血止血
優れた補血作用とともに、良好な収斂止血作用を有する。

  1. 心肝などの血虚証に使用される。めまい・動悸・顔色不良・不眠・羸痩(るいそう)・月経後期・過少月経・閉経・煩燥(はんそう)などに使用。 (処)阿膠四物湯

  2. 吐血・喀血・崩漏(ほうろう)・過多月経・血尿など一切の出血症に使用。
    陰虚火旺や虚寒証などの各種病態に使用可能だが、特に陰血虚の出血に適する。

    1. 虚寒証の崩漏・過多月経 (処)芎帰(きゅうき)膠(きょう)艾(がい)湯(とう)

    2. 脾陽虚証の各種出血   (処)黄土湯

    3. 養血止血安胎作用、妊娠の下血・胎動不安などに使用。 (配)続断・苧(ちょ)麻(ま)根(こん)




滋陰潤燥
肝・腎・肺の陰を補い乾燥を潤す。

  1. 熱病の陰液消耗や肝腎陰虚の煩燥不眠・動悸・四肢のほてり・倦怠感など。
    (処)炙甘草湯・黄連阿膠湯

  2. 陰虚内風による痙攣などに使用。
    (処)大定風(だいていふう)珠(じゅ)

  3. 肺陰虚や肺燥による乾咳・粘性少量痰・鼻腔乾燥などに使用。
    (処)清燥救肺湯・補肺阿膠湯

  4. その他、潤腸通便作用があり、腸燥便秘に使用されるが、通便力は弱く、他薬の補助薬として用いられる。
    (処)潤腸湯

適応病証

  1. 種々の貧血症(たとえば白血球減少症・血小板減少性紫斑病)・出血性疾患に有効とされている。
    吐血・喀血を呈する病態蒲黄・生(しょう)地黄(じおう)と併用。
    下血・血便を呈する病態当帰・赤芍などを配合 (処)阿膠芍薬湯
    月経過多や産後の不正出血の病態艾葉・当帰・白芍・生地黄などを配合
    (処)膠(きょう)艾(がい)湯(とう)


  2. 陰虚火旺証で熱感性症候が顕著に現れる病態
    不眠・多夢・躁状態・不安感・
    五心煩熱(ごしんはんねつ)を呈する病態
    黄連・白芍・川芎・甘草などを配合
    (処)黄連阿膠鶏子黄湯


  3. 陰虚による呼吸器系の病証
    乾性咳・咽喉部の乾燥を呈する病態馬(ば)兜(と)鈴(れい)・杏(きょう)仁(にん)・牛蒡子(ごぼうし)・炙甘草
    (処)補肺阿膠湯

注意 禁忌

  • 粘膩性であり消化器の障害を起こしやすい。
  • 脾胃虚弱証の食欲不振、痰湿証の嘔吐・下痢などには使用しない。
  • 不眠の起こり始めで、血虚症状が顕著でない場合は、阿膠を慌てて使用しない。
  • 実熱の出血・瘀血の出血には、早期から使用してはならない。邪を留めたり瘀を強める
    からである。

豆 知 識

名の由来は、山東省の東阿県に大きな井戸があり、その水で年末に常に膠(にかわ)を煮て、できた膠が良品とされたので、東阿県の阿をとって阿膠という名がついた。その井戸を俗に"阿井(あせん)"という。造り方は、生皮を水に4~5日浸しから洗い削って清浄した後、煮詰め、時々撹拌しながら、常に水を加えて弱火で長時間煮て、再びろ汁を煮詰めて膠状にし盆内にあけて固まるのを待つ。盆底に近い物を"盆膠"。江戸時代には、硯(すずり)様(で)、櫛(くし)様(で)、算子(さんし)様(で)、覆(ふく)盆(ぼん)様(で)など多くの形態で輸入された。

玉阿膠、阿膠珠
 蛤粉を鍋で加熱し、軽くなってきたら、きちんと切ったサイコロ状の阿膠を入れ、球状にふくらむまで炒り、黄白色を呈したらすぐに取り出し篩にかけて蛤粉を除き放冷する(蛤粉を入れるのは、炒るときに阿膠が鍋に粘りつき炭化する現象がさけられ、きめの細かい使用しやすい阿膠を作ることができるため)。蛤粉のほか、麩・米・糯米・草灰・蒲黄・猪脂に一夜浸して炒る。糯米で炒ると粘膩性が和らげられ消化しやすくなり、蒲黄炒・草灰炒では止血作用が増強するといわれる。

阿膠を含有する製品

牛黄清心元