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生薬

麦門冬(バクモンドウ)

おもな薬能
消炎、滋養、咳止め、去痰


画像の説明

ユリ科のジャノヒゲの根の膨大部を乾燥したものです。

別名

麦(ばく)冬(とう)、麦門、寸麦冬、寸冬

薬味 薬性 帰経

薬味:甘・微苦 薬性:寒 帰経:心・肺・胃

性 状

ユリ科ジャノヒゲの塊根を乾燥したもの。『神農本草経』の上品に収載されている。根の膨大部をそのまま乾燥したもの(長麦)と、水浸後中心柱を抜き去り両端を圧縮した楕円形のもの(丸麦)との2種類がある。最近は労力不足のため芯抜きしたものは少ない。本品は紡錘形を呈し、長さ1~2.5㎝、径0.3~0.5㎝、淡黄色~淡黄褐色、やや半透明。

成 分

ステロイド(サポニン)配糖体のオフィオポゴニンA~Dなど。その他糖類を多量に含み、主としてブドウ糖・果糖・ショ糖など。また、ホモイソフラボン類のメチルオピオポゴナノンA・Bなどを含有。

薬理作用

  • 体液性免疫の促進作用
  • 制菌作用、抗炎症作用
  • 血糖降下作用
  • 造血臓器に対する改善作用
  • 核酸代謝を調節する作用
  • ランゲルハンス島細胞の回復促進作用
  • その他 鎮咳、強心・利尿作用

古典での薬理薬能

天門冬に比べ滋陰作用は弱いが養心陰・清心火・養胃陰作用を有す

養陰潤肺
肺陰を滋養し肺を潤すが、天門冬に比べ滋陰作用は弱い。肺陰虚証や肺燥、肺熱、肺癆(はいろう) (*)などによる乾咳・無痰や粘性少痰・血痰・咯出困難な痰、少苔・無苔・乾燥舌・紅色舌など、天門冬と同様の病態症状に使用される。
そのほか気逆性の乾咳にも使用される。

  1. 肺燥の咳嗽      (処)麦門冬湯、清燥救肺湯
  2. 肺癆の咳嗽・喀血   (配)百合・沙参・生地黄など

養胃生津
胃陰を潤し津液を生じよみがえらせ、胃熱を去り、渇を止める。
薬性が温和で、胃陰を補う良品。

  1. 外感熱病後期や慢性疾患などの胃陰虚証に使用される。
    口渇・口燥・紅舌・無苔や少苔など症状。 (処)益胃湯
  2. 消渇病に使用される。特に上・中消に多用される。(配)生地黄

養心陰・清心火
心陰を滋養し心火を冷まし、心神を安定させる。

  1. 心陰虚や心経熱証による不眠・心煩・動悸・ほてり・盗汗などに使用  (処)天王補心丹
  2. 気陰両虚証の息切れ・倦怠感・動悸・不眠・口渇などにも使用  (処)清暑益気湯
  3. 温熱邪が心営に入ったための身熱煩燥・意識障害・乾燥絳舌 (処)清営湯 

潤腸痛便 
軽度の潤腸痛便作用がある。だが天門冬より薬力は弱く、
他の補助薬として使用される。熱性燥性の腸燥便秘に使用
(処)増液湯  

清熱作用 
陰虚鬱熱による咽頭痛・咽頭発赤・咽頭炎・慢性扁桃腺炎などに使用
(処)養陰清肺湯

適応病証

  • 慢性炎症感染症による肺疾患(肺結核、慢性気管支炎など)で乾性咳、血痰、喀血、粘稠痰、咽喉部の乾燥などの病態(肺陰虚)では、肺の機能増強、潤い作用、鎮咳作用を目的に配合。
  • 虚労による煩熱
  • 熱病による体液消耗
  • 乾燥性便秘

注意 禁忌

風寒感冒や風寒、湿性の咳嗽、脾胃虚寒証の下痢には禁忌

豆 知 識

かつては日本の各地で栽培して輸出していたが、現在は中国の浙江、四川などから輸入している。約70トンの輸入量。多くは栽培品で、浙江省で栽培後3年の立夏のころ採取された物を「杭麦冬」といい、四川で栽培後2年の清明後に採取された物を「川麦冬」といい、野麦冬で清明後のものを「土麦冬」と称するが品質はあまりよくない。

麦門冬を含有する製品

牛黄清心元